申し送りが苦手でも、それだけで看護師に向いていないとは決まりません。申し送りは才能ではなく、準備の型、伝える順番、指摘後の直し方で安定させられる仕事です。
ただし、申し送りのたびに眠れない、出勤前に涙が出る、先輩の指摘を考えるだけで強い動悸や吐き気がある。こうした状態が続くなら、練習より健康が先です。産業医・医療機関・院内相談窓口、厚生労働省の「こころの耳」などにつながってください。この記事では疾患・治療・看護手技の説明には踏み込まず、職場での準備と相談に限定します。
この記事でわかること:
- 申し送り前に作る自分用メモ
- 緊張しても戻れる伝え方の順番
- 指摘された後の振り返りと相談ライン
結論:申し送りは「準備の型」で安定する
申し送りでつまずく原因は、話す力だけではありません。準備、順番、聞き手との関係、指摘後の修正が混ざります。
| つまずき | 対応 |
|---|---|
| 何から話すかわからない | 話す順番を固定する |
| 情報が抜ける | 申し送り前メモを作る |
| 指摘が怖い | 指摘を次回の確認項目に変える |
| 人前で強く言われる | 記録し、教育担当や師長に相談する |
まず目指すのは、上手に話すことではありません。必要な確認が抜けないように、戻る場所を作ることです。
申し送り前メモ:完璧な文章ではなく、戻る場所を作る
自分用メモは、きれいに書く必要はありません。緊張したときに見るための地図です。
| メモ項目 | 書くこと |
|---|---|
| 最初に言う要点 | 今日一番共有したいこと |
| 変化 | 前回から変わったこと、確認が必要なこと |
| 継続 | 続けて見ること、次勤務者に引き継ぐこと |
| 確認したいこと | 自分だけで判断せず確認したい点 |
ここで具体的な医療内容は、職場のルールや教育担当の指示に従ってください。この記事が示すのは、内容そのものではなく枠です。枠があると、緊張しても「最初に要点、次に変化、最後に確認」に戻れます。
伝える順番:先に地図を出す
申し送りで聞き手が不安になるのは、どこに向かっているかわからないときです。最初に地図を出します。
使える言い方です。
「最初に今日の要点を一つ共有し、その後に変化と確認したい点を伝えます」
「確認したい点が一つあります。先に経過を簡単に共有します」
「抜けがあれば最後に確認させてください。まず変化から伝えます」
この一言で、話す側も聞く側も構えができます。長く話す必要はありません。申し送りは発表ではなく、次の勤務へ業務を渡すための会話です。
指摘された後:落ち込みではなく、次回項目に変える
申し送りで指摘されると、人格まで否定されたように感じることがあります。しかし振り返るときは、指摘を次の確認項目に変えます。
| 指摘の受け止め | 次回項目への変換 |
|---|---|
| また抜けた | 次回メモに「最初に確認」を追加 |
| 話が長いと言われた | 最初に要点を一文で言う |
| 何が言いたいかわからないと言われた | 「確認したい点」を先に置く |
| 怒られて怖かった | 言動と影響を記録し、教育担当に相談 |
落ち込みが強いときは、インシデントで落ち込んだ看護師への振り返り方も使えます。大切なのは、反省を無限に続けないことです。次回の一項目に変えたら、そこで区切ります。
相談する:苦手を一人で隠さない
申し送りが苦手なことは、相談してよい内容です。隠すほど緊張が強くなり、抜けも増えます。
「申し送りで緊張して順番が崩れやすいので、自分用メモを作っています。次の勤務で、抜けやすい項目を一度確認してもらえないでしょうか」
「毎回指摘を受ける箇所を整理したいです。内容の良し悪しではなく、話す順番を見てもらいたいです」
相談先は、教育担当、プリセプター、主任、師長です。職場で質問しづらい雰囲気が強い場合は、新人・2年目看護師がしんどい理由や人間関係がしんどいときの距離の取り方も参考に、苦手と職場環境を分けて見てください。
強い叱責がある場合:苦手ではなく環境問題として扱う
申し送りが苦手なだけなら、準備と練習で改善できます。しかし、人前で人格を否定される、必要以上に強い口調で責められる、質問すると毎回威圧される場合は別です。
その場合は、次の5項目で記録してください。
- 日時
- 場所
- 相手
- 言動
- 業務への影響
例:「7月4日、日勤終わりの申し送り中、スタッフ数名の前で『向いていない』と言われた。その後、確認したい点を聞けず、次回勤務前まで不安が続いた」
継続的な威圧や無視がある場合は、職場いじめ・パワハラの対処法で相談窓口も確認してください。院内が機能しなければ、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。
練習の仕方:本番の文章を丸暗記しない
申し送りの練習で、文章を丸暗記しようとすると、本番で一か所飛んだだけで止まります。覚えるのは文章ではなく順番です。
| 練習すること | やり方 |
|---|---|
| 要点を一文で言う | 「今日一番共有したいことは何か」を声に出す |
| 変化を分ける | 変わったこと、続けて見ることを別々にメモする |
| 確認を最後に置く | 「確認したい点は一つです」と先に決める |
| 時間を区切る | 長く話す練習ではなく、短く戻る練習をする |
緊張すると、うまく話そうとして説明が長くなります。長くなるほど自分でも何を言いたいかわからなくなります。だから、最初の一文を決めておきます。「今日共有したい要点は一つです」「確認したい点があります」。この入口があるだけで、聞き手も待ちやすくなります。