先に数字で答えます。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした看護師の平均年収は、全国平均で約524.7万円です。都道府県別では滋賀県の約585.3万円が最高、高知県の約434.8万円が最低で、その差は約150.5万円です。まず上位5と下位5を示し、そのあとで順位をそのまま転職判断に使えない理由を整理します。
この記事でわかること:
- 都道府県別の看護師平均年収の上位5・下位5と全国平均(令和7年調査)
- 地域差が生まれる4つの構造(物価・夜勤体制・病床規模・設置主体)
- 額面ランキングを生活費込みで読み直す方法と、下位県での現実的な打ち手
看護師の給料ランキング:都道府県別の上位5・下位5と全国平均
出典は政府統計の総合窓口e-Statに掲載された令和7年賃金構造基本統計調査・一般労働者・都道府県別第3表です。男女計の「看護師」について、年収を「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額」で計算しました。月額は2025年6月、賞与等は原則2024年1〜12月の実績です。
上位5都道府県
| 順位 | 都道府県 | 平均年収(概算) |
|---|---|---|
| 1位 | 滋賀県 | 約585.3万円 |
| 2位 | 東京都 | 約578.5万円 |
| 3位 | 山梨県 | 約555.4万円 |
| 4位 | 栃木県 | 約553.8万円 |
| 5位 | 奈良県 | 約548.4万円 |
下位5都道府県
| 順位 | 都道府県 | 平均年収(概算) |
|---|---|---|
| 43位 | 岩手県 | 約454.4万円 |
| 44位 | 福島県 | 約454.3万円 |
| 45位 | 青森県 | 約452.5万円 |
| 46位 | 宮崎県 | 約443.3万円 |
| 47位 | 高知県 | 約434.8万円 |
全国平均は約524.7万円です。全47位を暗記する必要はありません。見るべきは、①自分の県が全国平均より上か下か、②最高・最低の差は約150.5万円であること、③県ごとに平均年齢・勤続年数・事業所構成が異なること、④数字は額面であり手取りや生活の余裕を示さないことです。
令和7年調査は2026年3月24日に公開されました。厚生労働省の職業情報提供サイト看護師の職業情報でも、同調査を加工した全国年収524.7万円を確認できます。数字は回答者と事業所の構成で年ごとに動くため、1年の順位だけで移住や転職を決めないでください。
看護師の都道府県差を読む4つの条件
「なぜ約150.5万円も差がつくのか」を、この調査だけから一つの原因に決めることはできません。求人を比較するときは、少なくとも次の4つを切り分けます。
- 地域の物価・賃金水準: 給与はその地域の生活費・他産業の賃金と連動して設定されます。最低賃金も地域別に定められており、都市部の給与テーブルは全体的に高めです。看護師だけが地方で安いのではなく、地域全体の賃金水準の反映です
- 夜勤・時間外労働・手当: 「きまって支給する現金給与額」には超過労働給与額が含まれます。夜勤回数や時間外労働が違えば年収も変わるため、給料の内訳は給料のしくみの記事で分けて確認します
- 回答者の年齢・勤続年数: 都道府県表では平均年齢と勤続年数も県ごとに異なります。年齢や勤続の構成が違う県の年収を、そのまま個人同士の地域差とは解釈できません
- 調査された事業所の構成: 事業所規模や産業の構成が県ごとに異なります。県平均では、自分が検討している病院・診療所等の給与を直接示せません
つまり県別ランキングは、地域名だけでなく、回答者と事業所の構成を含んだ平均です。自分の給料の妥当性は、県平均だけでなく、同じ雇用形態・勤務時間・夜勤条件・経験年数の求人と比べて判断します。
額面ランキングの落とし穴:生活費込みで見ると順位が変わる
ランキングを見て「高い県へ行けば表の差額がそのまま増える」と考えるのは早計です。簡単な思考実験をします。
仮に現在の年収450万円、転職先の提示年収550万円なら、額面差は100万円です。これは表の最高・最低差150.5万円とは別の計算です。ここから家賃、通勤、引っ越し費用、税・社会保険料の変化を引いて比較します。家賃が月5万円増える想定なら年60万円の支出増なので、額面差100万円をそのまま「手元に100万円増える」とは評価できません。
逆も言えます。下位県で働いていることは「損をしている」ことを意味しません。家賃3〜5万円で通勤10分の生活と、家賃10万円で通勤45分の生活では、同じ手取りでも残るお金と時間が違います。地方と都市部の求人・生活費の見方は地方転職の記事で詳しく比較しています。
ランキングの正しい使い方は、「高い県を探す」ことではなく、自分の現在地を全国平均524.7万円と照らし、給与明細と求人票のどの項目が違うかを確認することです。
一番給料が高い科はどこか:「公的統計にない」が正直な答え
「看護師 一番給料が高い科」もよく検索されますが、先に正直に言います。診療科別の看護師給与を示す公的統計は存在しません。 賃金構造基本統計調査は「看護師」という職種単位の集計で、科別の内訳はありません。ネットで見かける科別ランキングは、求人票の集計や体感に基づくもので、統計として扱える精度ではありません。
診療科による給与差を確認したい場合は、応募先の給与規程と求人票で、基本給、夜勤、オンコール、時間外労働、職務手当等を確認してください。科名から給与を推測せず、実際の勤務条件と手当で比べます。夜勤以外も含めた年収の上げ方は年収を上げる5つの正攻法の記事に整理しています。
統計の正しい読み方:平均年収524.7万円の注意点
ランキングの数字を使いこなすために、この統計のクセを3つ知っておいてください。
- 全国の平均年齢は42.1歳: 若手が自分の年収と単純比較する数字ではありません。年齢・勤続年数も同時に見ます
- 年収の算出方法に注意: 「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」の概算で、時間外給与や賞与で動きます。求人票の基本給や月給との単純比較はできません
- サンプルの偏り: 調査対象となった事業所の構成(規模・設置主体)が年ごとに変わるため、県の順位は毎年入れ替わります。順位の1〜2つの違いは誤差の範囲と考えてください
数字を見て「自分の給料は安い」と感じたときにやるべきことは、平均との差に落ち込むことではなく、自分の給料明細を分解することです。基本給・夜勤手当・その他手当・賞与のどこが相場より低いのかで、打ち手がまったく変わります。「給料が安いから辞めたい」と感じている人は、辞める前に給料アップ5手段の記事で順番を確認してください。