「2026年になって、看護師の給料は結局上がっているのか」——先に結論を示します。看護師の給料を上げる公的な仕組み(ベースアップ評価料など)は導入され、令和8年(2026年)6月の診療報酬改定でさらに賃上げに向けた見直しがなされました。ただし、全員が自動で上がるわけではありません。実際に上がるか・いくらかは、勤務先がその仕組みを算定しているか、経営状況などで差が出ます(2026年7月時点)。この記事は、期待や不安を煽らず、仕組みと実態を一次情報で整理します。
この記事でわかること:
- 2026年時点で看護師の給料が上がる仕組みがあるのか(結論)
- ベースアップ評価料と看護職員処遇改善評価料の違い
- 全員が上がるわけではない現実と、自分の給料を確かめる方法
2026年に看護師の給料は上がるのか:結論
結論を、事実に基づいて3点に整理します(いずれも2026年7月時点)。
- 賃上げを支える公的な仕組みは存在する。医療従事者の賃上げ原資に充てる「ベースアップ評価料」が令和6年度(2024年度)に新設され、看護職員の給与引き上げに使われています
- 2026年6月の改定で強化された。日本看護協会によると、令和8年(2026年)6月から新しい診療報酬が算定され、ベースアップ評価料は「さらなる賃上げに向け評価の見直し」がなされました
- ただし全員・全職場が自動で上がるわけではない。対象や実額は、勤務先が算定しているか・経営状況・職場の方針で差が出ます
つまり、「制度としては給料を上げる方向に動いている。ただし自分の給料が上がるかは勤務先次第」というのが、煽らない正確な答えです。「必ず上がる」とも「どうせ上がらない」とも言い切れません。大事なのは、仕組みを理解したうえで自分の職場の状況を具体的に確認することです。まず、その仕組みの中身から見ていきます。
賃上げを支える仕組み:ベースアップ評価料と処遇改善評価料
看護師の賃上げに関わる公的な仕組みは、名前が似ていて混同されがちです。主なものを整理します。
| 仕組み | 位置づけ(2026年7月時点) |
|---|---|
| ベースアップ評価料 | 令和6年度(2024年度)新設。幅広い医療従事者の賃上げ原資に充てる。令和8年度改定で見直し・強化 |
| 看護職員処遇改善評価料 | 2022年10月創設。救急医療管理加算を算定する救急病院などの看護職員が対象 |
ベースアップ評価料は、医療機関がこれを算定し、看護職員などの基本給・手当の引き上げに使う仕組みです。医療従事者の賃上げ(ベースアップ)を後押しするために作られました。
看護職員処遇改善評価料は、それより前の2022年10月に創設された、救急病院などの看護職員を対象とした仕組みです。政府は、対象となる看護職員について月平均で一定額の収入増を目指す趣旨で導入しました。ただし対象が「救急医療管理加算を算定する病院」などに限られるため、すべての看護師が対象になるわけではありません。
この2つは対象も創設時期も異なります。「処遇改善」という言葉が両方に使われるため混同されますが、別の仕組みだと押さえておくと、報道や求人票の説明を正しく読めます。給料そのものの構造(基本給・手当・夜勤の内訳)は給料のしくみの記事で分解しています。
令和8年度(2026年)診療報酬改定で何が変わったか
日本看護協会の公式情報によると、令和8年(2026年)6月から新しい診療報酬が算定開始され、賃上げに関して次のような見直しが行われました(2026年7月時点)。
- ベースアップ評価料の見直し: さらなる賃上げに向けて評価が見直された
- 継続的に賃上げしている機関を高く評価: 令和7年度以前から継続的な賃上げを実施している医療機関・訪問看護ステーションには、一段高い評価が適用される区分が設けられた
- 賃上げの基準が示された: 継続的な賃上げの目安として、令和6年3月と比べて看護職で5.5%相当以上のベースアップ(看護補助者・事務職員は8%相当以上)という水準が基準とされた
ポイントは、改定が「賃上げを続けている医療機関をより評価する」方向に動いていることです。これは、制度としては看護職の処遇改善を進める意図がはっきりしていることを意味します。一方で、実際にいくら上がるかは、勤務先がどの区分で算定し、どれだけ給与に反映するかによって変わります。制度の詳細や最新の続報は改定で動くため、必ず日本看護協会や厚生労働省の公式情報で確認してください。
全員が上がるわけではない:対象と据え置きの現実
ここは、期待だけで読まないために正直に書きます。賃上げの仕組みがあることと、自分の給料が上がることは、イコールではありません。差が出る主な理由は次のとおりです。
- 算定しているかどうか: 医療機関がその評価料を算定していなければ、原資は入りません
- 対象施設・要件がある: 看護職員処遇改善評価料のように、対象が救急病院などに限られる仕組みもあります。クリニック・回復期病院・訪問看護ステーションなどが対象外になる場合があります
- 経営状況で反映度が違う: 算定していても、経営状況や方針で据え置き・微増にとどまることがあります。大きな医療法人グループが明確にベースアップを打ち出す一方、小規模な事業所では原資の確保が難しいこともあります
だからこそ、「ニュースで賃上げと言っていたのに、自分の給料は変わらない」ということが起こり得ます。これは珍しいことではなく、仕組みの対象・反映が職場によって違うためです。まず自分の職場が該当するのかを確認することが、無用な期待や落胆を避ける第一歩になります。給料への不満が先に立っている人は給料が安くて辞めたいときの記事で、辞める前の給料アップの手段も確認できます。
公的データで見る看護師の賃金の推移
「制度で上がると言うが、実際に看護師の賃金は増えているのか」。ここは公的な統計で見ます。厚生労働省の賃金構造基本統計調査は毎年実施され、職種別の賃金を把握できます。令和6年(2024年)調査をもとにした看護師の平均年収は、およそ520万円前後です。
ただし、この平均は年ごとにサンプルの構成でも揺れますし、地域・施設・年代で大きな幅があります。平均が動いた=自分の給料が上がった、とは限りません。数字を使うときは、何年の調査か・どの範囲の平均かを必ず確認してください。年次ごとの推移は政府統計の総合窓口(e-Stat)で確認できます。都道府県による差は給料ランキング都道府県別の記事で、平均年収の中身と読み方は看護師の平均年収の記事で詳しく整理しています。
制度の後押しと、統計上の賃金の動きは、必ずしも同じスピードでは表れません。将来「必ずこれだけ上がる」と断定はできないので、この記事でも見通しの断定は避けます。確かなのは、仕組みが賃上げの方向に動いていることと、実際の反映は勤務先で差が出ることの2つです。